第33話:メンドクサイおぢさんが最近引っかかった「新潟えだまめ盛り」について考える。

共同通信のニュースによると、
新潟は枝豆の作付面積が
全国1位なのだそうだ。

そのせいなのかどうかは
分からないのだが、兎角
新潟県民は枝豆の食べる量は
尋常ではないらしい。
他県の方から見ると、
一食でボールいっぱいに
食べるのは異常とのことだ。

そこに目を付けた新潟県は、
新たなPRを始めた。
新潟県のHPの言葉を借りると、
新潟はえだまめ王国という
イメージ確立を目指し、
えだまめのザル盛・大盛を
みんなで食べる新潟の食文化を
全国に広く周知するため、
「新潟えだまめ盛」と命名したそうだ。
新潟県内だけではなく、東京や
神奈川、埼玉などの首都圏の
居酒屋さんで同名のメニューの
提供も始めるとのことだ。

新潟県のPRのやり方や
ネーミングセンスについて
どうこう言う気はなく、
「へー。そうなんだ。」
「まぁ、新潟が盛り上がるといいね。」
ぐらいの感覚であり、批判をする気もない。

ただ、何かが引っかかる。
何かが気持ち悪いのだ。

「新潟えだまめ盛」の定義が
はっきりしていない。
ざるいっぱいとか、大盛を食べるなど
びっくりするぐらい抽象的。
そもそも、枝豆の量のどのぐらいからが
「新潟えだまめ盛」なのか?
その定義がはっきりとしていない。
となると、新潟えだまめ盛りと称して
提供する店舗によっては量にバラつきが
出るのではないかと懸念される。
しかも、「山盛りの枝豆」についての
ネーミングであるのならば、
「新潟県産の枝豆」でなく、
「他県産の枝豆」であっても、
「新潟えだまめ盛」として通用して
しまうのではないだろうか。
そもそも、大盛りの枝豆を
「新潟えだまめ盛」とネーミングして
よいのであれば、例えば、新潟は
米どころでご飯をいっぱい食べるから、
まんが日本昔ばなしのような山盛りご飯を
「新潟山盛りごはん」と名付けよう!
ってのも、まかり通ることになる。

何より、生産量や収穫量ではなく、
作付面積が全国一位というのが気になる。

気になる。気持ちが悪い。

気になって仕方がないので、
「枝豆 生産量 ランキング」で
検索すると、「野菜情報サイト
野菜ナビ」というサイトを見つける。
そのサイトによると、枝豆の産地
2021年のランキングで
収穫量が一番多いのは北海道で二位が群馬。
新潟県はなんと、七位なのである。

え。。。一位なんじゃないの?
うん。わかんない。
学の無いおぢさんには分からない。
新潟は枝豆をたくさん植えているけど、
あんまり実らないってことなのか?

まぁ、結果、世の中に出回っている
枝豆の多くは北海道産や群馬県産などであり、
新潟県産は一部であるようだ。
であるとすれば、「新潟は枝豆王国!」
というのであれば、おぢさん的には
少々気恥ずかしい。

北海道の人や群馬の人と首都圏の会合で、
「あ、新潟えだまめ盛をください!」
と、したり顔で注文し、「いやぁ、新潟って
枝豆王国なんだよねぇ。」なんて知らずに
言ってしまっていたとしたらゾッとする。
「は?七位のくせに?」とマウントを
マウントで返されるという、おぢさんには
この上ない屈辱を味わう結果になってしまう。
しかも、「新潟えだまめ盛」として出された
枝豆の原産地が北海道や群馬県産だったとしたら
目も当てられない。顔が真っ赤っかになって
消えてなくなりたくなる。

「新潟えだまめ盛」、なりより
おぢさんが引っかかる一番のポイントは、
そもそも「えだまめのザル盛や大盛をみんなで
食べる新潟の食文化」というものは
「大盛りの枝豆」のことをではなく、
「枝豆をたくさん食べる」という行為の
ことなのではないだろうか?
物量ではなく行為に対してネーミング
するのであれば、「新潟えだまめ喰い」
になるのではなかろうか。

それならば、しっくりくる。

これがおぢさんが感じた、
「新潟えだまめ盛」という言葉に対する
何だか引っかかる正体のようだ。

「枝豆 消費量」で検索をすると、
新潟は枝豆の消費量が日本一とのこと。
一番分かりやすかった「恋して新潟~観食遊~」
というサイトによると、新潟は消費量が一位、
作付面積も一位。なのになぜ、出荷量は七位なのか。
その答えは、「自分たちで全部食べてしまうから。」
つまり、地産地消されたものは、出荷量として
カウントされないようなのだ。このサイトによって
先ほどの「新潟は枝豆をたくさん植えているけど、
あんまり実らないってことなのか?」という
おぢさんの疑問は解決した。先に述べたような、
首都圏での会合で北海道の方や群馬の方との
マウント合戦になったとしても、エビデンスを
もって反論ができる。

しかしながらだ。
で、あるのならば、
えだまめのザル盛・大盛を
みんなで食べる新潟の食文化を
全国に広く周知するのであれば、
「盛り方」でなく、「食べ方」だろ。
と思ってしまう。

冒頭でも述べたが、決して新潟県の
この活動に批判する気は毛頭ない。
学の無いおぢさんが感じた
言葉の気持ち悪さを綴った
戯言であることを、ご理解いただきたい。

まぁ、結局、
何が言いたかったかと言うと

「枝豆って美味しいよね!」

っていうことだ。

(2023.08.18:コラム/上野龍一)


【 上野龍一 】
~プロフィール~

1975年4月28日生まれ
新潟県新潟市出身
「有限会社看板の上野」代表

経営者として人生経験を積む傍ら心理学、コーチング、エゴグラム心理分析などを研究。
自らを実験台に実績を繰り返して企業や学生への講師やコーチング、セミナーなどを開催する「可能性創造研究所」を設立。

また、地域イベントの企画、運営をするユニット「ニイガタ工務店」としても活動中。

「働くということは社会に貢献すること」を信条とし、様々な地域活動や企画運営を行っている。