第32話:雑念の多いおぢさんは、心を落ち着かせることが難しい。

最近どうも、やる気が出ない。
何かとストレスを受けやすい現代社会。
自律神経でも乱れているのだろうか。
ゴールデンウィークが明ける頃に
疲れが噴出し、心と体に不調が現れる
というと、代表的なものが五月病だ。
もしかしたら。。と一瞬思ったのだが、
おぢさんの場合、基本やりたいこと
ばかりを追いかけているため、
少しばかり、やりたくないことが続くと
「やる気が出ない」と逃げの姿勢を取る
という単なる「わがまま」のようだ。

まぁ、多少なりにも自律神経が乱れている
という可能性も否定はできない。
そんな時は「深呼吸をする」ことで
神経を「整える」ことにしている。
これは幼い頃から、ジョジョの奇妙な冒険
を愛読し、波紋の呼吸法を研究していたこと。
また、小、中、高と武道の
剣道をやっていたということが
関係するのかもしれない。とくに、
剣道では練習の最初と最後に正座をして
黙想をするのだが、これが激しい運動の
前後に心のコンディションを整えるのに
最適な行為なのだ。

おぢさんが深呼吸をする時は、ゆっくりと
息を吸ってから、できるだけゆっくりと
20秒ぐらいかけて吐くようにしている。
体内の空気を全部吐き出すといった
イメージだろうか。これを何回か繰り返す
ことで、なんとなく心が落ち着いてくる
気がするのだ。特に、忙しい状態が
続いている時には、脳に強制的に
休んでいるという感覚を伝えるという
感じもあり、おぢさんにとって深呼吸は、
うってつけのアクションである。
特に就寝前のお布団でウダウダする時に
行う深呼吸は、おぢさんにとって心を
整える最適な行為なのだ。

そんな心穏やかに「無」になる行為を
行っていると、必ずといっていいほど
雑念が湧いてくる。それも、心の底から
どうでもいいことを考え始めてしまう。

「端午の節句に武者人形を飾るのは
なんとなく解るが、金太郎人形を
飾るのは何故なのだろう?」

5月ということもあるのか、そんな
どうでもよいことが浮かんでくる。
どうでもよいことなのだが、一度頭に
よぎると気になってしょうがない。

すぐさま調べて見ると、この金太郎の
話の元は源頼光の家来で四天王のひとりで、
酒呑童子を退治したことで知られる
坂田金時という、平安時代に実在した
お侍さんの幼名なのだそうだ。
時代を経て、いつしか金太郎は健康を表す
シンボルとなり、端午の節句に金太郎の
人形を飾ることで、金太郎のように、
気持ちの優しく健やかな子どもとして
成長してほしいという願いがこめられている
とのことで、なんとなく、ぼんやりと思った
おぢさんの仮説が合っていたことに少し
スッキリとしたのだが、すぐさま次なる
雑念が思い浮かんでしまう。

「童謡で、まさかり担いだ金太郎と
歌っているが、なぜ、斧じゃなくて
まさかりなんだろう?ってか、
斧とまさかりの違いって何だろう?」

すぐさま調べて見ると、斧とは、木を切ったり、
薪を割ったりする際に用いられるもので、
木の柄に鉄の刃がついているのが一般的。
まさかりとは、木を切ったり、木を削ったり、
時には固い野菜を切ったりすることに用いられる。
斧に比べて、刃の幅が広く、刃の片側がくびれて
いるものもある。斧より軽く取り扱いを片手で
行えることが多い。とのことだった。
斧やまさかりは、木を栽培、加工する際に
大変優れた道具であったことや、歴史的に
武器に用いられたこともある為、何かの象徴や
シンボルとして描かれることも多いとのことだ。
文章で書くとよく分らないが、おぢさんが
気になった、良く見る金太郎のイラストに
描かれているものは、まさかりではなく
斧であり、マサカリの形とは解りやすく
例えると「機動戦士ガンダム」に出てくる
ザクが持っている「ヒートホーク」のような
ビジュアルであるということなのだ。

まさかり担いだ金太郎

これは歌が間違っているのか、それとも
良く目にするイラストが間違っているのか
気になり調べて見ると、金太郎の伝説では、
雷神が山姥をはらませて出来た子供である
という話があり、中国の雷神がまさかりを
持った姿で描かれる事から、金太郎も
まさかりを持っているという説があるそうで
この伝説をエビデンスとするならば、
良く目にするイラストの方が間違っていた
ということになる。

そんなことを調べていたため、心を整える
ための深呼吸は、いつの間にか忘れている。
まぁ、私ぐらいの「波紋呼吸法研究家」の
おぢさんになると、ジョジョの奇妙な冒険
第二部でリサリサ先生から学んだように
無意識で波紋の呼吸を行っているため、
心配はご無用であるのだが、第一部で
ディオ・ブランドーの言葉である

「波紋?呼吸法だと? フーフー吹くなら
この俺のためにファンファーレでも
吹いてるのが似合っているぞッ!」

という言葉が今度は頭から離れなくなる。

まぁ、結果、妄想が駆け巡る
一見無駄に思えるこの時間が、
一番、心を落ち着けることが
できるのだと深呼吸を始めてから
雑念に明け暮れたこの意味もないと
言える時間を自分自身で肯定しつつ、
おぢさんは、いつの間にか
眠りに就くのである。

(2023.05.19:コラム/上野龍一)


【 上野龍一 】
~プロフィール~

1975年4月28日生まれ
新潟県新潟市出身
「有限会社看板の上野」代表

経営者として人生経験を積む傍ら心理学、コーチング、エゴグラム心理分析などを研究。
自らを実験台に実績を繰り返して企業や学生への講師やコーチング、セミナーなどを開催する「可能性創造研究所」を設立。

また、地域イベントの企画、運営をするユニット「ニイガタ工務店」としても活動中。

「働くということは社会に貢献すること」を信条とし、様々な地域活動や企画運営を行っている。