第10話:悪ふざけおぢさんは懲りもせず今年も「新潟劇王」に参加するらしい

以前コラムで昨年「新潟劇王」に出場した話を書かせていただいた。

エントリーをするか否か。
私が所属をするユニット「ニイガタ工務店」のメンバーと協議を行う。
聞いたところによると現状、出場定員の半分ぐらいのエントリーとのこと。

「じゃあ、今回も出ちゃう?」
何事もノリが優先の私たち。そんなこんなで今年も「新潟劇王」にエントリーをさせていただくこととなった。

「今年もエントリーさせていただきたく存じます。よろしくお願いいたします」
必要事項をメールにて送信。すると、事務局より返信が来る。
「現在、エントリーが多数のため、厳正なる審査と出来るだけ多くの団体に参加いただけるよう調整中です。追って返信させていただきますのでしばらく、お待ちください」
ん?マジか。思っていたんと違う。
まぁ、エントリー多数ということは私たちのような「悪ふざけおぢさん」は選考の段階で落とされるだろう。と高をくくり、エントリーを取り下げなくても、まあいっか。と私の悪癖である楽観主義を全開に数日が経った。

後日、私のもとに届いた返信内容は「厳正なる審査の結果、参加いただきたく内定となりました」とのことだった。

ありぁま。出場が決定しちゃった。
まぁ、いいか。元々出場する気だったので問題はない。
昨年も出場しているし、流れ的なものは心得ている。
しかし、その後に続く依頼が昨年と少々違う。

「チラシ作製にあたり、必要事項をお送りください」
はいはい。昨年と同じね。心得ておりますよ。
と内容を確認すると昨年は団体PRを記載していたものが今年は作品あらすじを記載となっている。
マジか。なんとなくの構想は頭の中にあるのだが、はっきりとした作品あらすじなんぞ、どこにもない。
しかも返信締切も短く、明日明日には送ってほしいとのこと。

ヤバい。ヤバい。こんなはずじゃなかったのに。いざとなると猛烈にあせる。

「逃げちゃダメだ。逃げちゃダメだ」と自分の中のシンジ君を奮い立たせ、「あなたならできるわ」と無責任な励ましをしてくる心の中のセイラさんに「おだてないでください」とアムロで返す。

さてさて、まずは概要を決めよう。
昨年もそうだが、ベースは命の尊さを伝える。
そこにユーモアなバイオレンスをエッセンスにするという、私らしい、私なりの尖り方。ここは継承しよう。

では、次に昨年との違いをどのように出すか。
人は一人では生きられない。
誰しもが必ず他者との関わりを持って生きている。
関わりを持つということは、常に人は他者や社会環境から何かしらの影響を受けることとなる。
その影響は果たして正しいのだろうか。
私たちは正解のない世の中に生きている。
世論、イデオロギー、政治、戦争、人のあらゆる営みに、唯一の真理や正義など求めようがないのだ。
しかし、他者と関わり、生きるということは、ルールというものが存在する。
ルールを犯した者には基本、ペナルティーが発生する。
たとえ、そのルールがどんなに理不尽であったとしても。
もしかしたら、この社会における懲罰制度というものは、捏造された社会的虚構に過ぎないのかもしれない。

と、まあ、我ながら、深いことを考え始めたもんだ。
哲学ですやん。
しかし、悪くない。これだ。この流れで行こう。
たしか、こんな感じの内容が聖書にあったよな?と検索する。

あった。

「人を裁くな。
あなたがたも裁かれないようにするためである。
あなたがたは、自分の裁く裁きで裁かれ、自分の量る秤で量り与えられる(中略)

聖なるものを犬に与えてはならない。
また、豚の前に真珠を投げてはならない。
豚はそれを足で踏みつけ、犬は向き直って、あなたがたを引き裂くであろう。」
(マタイによる福音書 7:1-6)

うむ。
なかなかイメージとピッタリくる。
とりあえず、この聖書の一文をあらすじとして掲載しよう。
タイトルは。。。そう!「命の選別」としよう。
ヤバい。面白そうだ。自らハードルをガンガンに上げまくっている。
特に今年は昨年より、格式が一段上がっている気がする。
参加も二年目となると、勢いだけで乗り切るという訳にもいかない。
しかも、出演するメンバーは「セリフなしで」とか「覚える気はあるけど多分、覚えられません」など、あなたの道楽に渋々付き合ってあげますという当事者意識の欠けた強者達だ。

これは中々ゾクゾクくる。Mっ気満タンだ。
これは「マゾ」のMなんかではない。
これはきっと、「ミラクル」のMなのだ。
そう自分を奮い立たせながら、M気質のおぢさんはこれから起こるであろう「奇跡」に向けて、散らばったパズルのピースを集める作業をしている。

もし、このコラムを見てくださった方が興味を持ち、本番に応援に来ていただけようなら、小躍りを踊ってしまうほど嬉しい。
そんなおぢさん達の「本気の悪ふざけ」を都度、何かしらのカタチでお知らせできたらと思う。

(2022.03.11:コラム/上野龍一)


【 上野龍一 】
~プロフィール~

1975年4月28日生まれ
新潟県新潟市出身
「有限会社看板の上野」代表

経営者として人生経験を積む傍ら心理学、コーチング、エゴグラム心理分析などを研究。
自らを実験台に実績を繰り返して企業や学生への講師やコーチング、セミナーなどを開催する「可能性創造研究所」を設立。

また、地域イベントの企画、運営をするユニット「ニイガタ工務店」としても活動中。

「働くということは社会に貢献すること」を信条とし、様々な地域活動や企画運営を行っている。