第12話:新潟に住まうおぢさんがラジオ番組を持つことになった

ひょんなことから、ラジオ番組を持つことになった。
きっかけはこうである。

私は以前、亀田商工会議所青年部(亀田YEG)に在籍していた。
どのような団体かというと、商工会議所会員の若い人たちが地域のイベントやら、なんやらを盛り上げていこうぜ!とまぁ、ざっくり過ぎて関係筋の方に怒られそうだが、簡単に説明させていただくとそんな感じである。

で、亀田YEGでは毎週月曜日の午前11:15からFMにいつさんにて亀田YEGのメンバーが週替わりで
自己紹介やら、メンバーが、どのような仕事をしているやら、亀田YEGの事業内容を紹介するといったラジオ番組を持っていたのだが、そのラジオ番組がこの3月で終了するのだという。

「へぇー。なんか、もったいないねぇ」

そんな会話が発端だった。

「ちなみにあの番組の予算っていくらだったの?」
何気なく聞いた質問に対して、これこれ、これぐらいです。
と価格の返答を聞いた時に思わず、のけぞった。

「安っす!マジか?」

ラジオ番組と言えば数十万円するイメージ。
大手の企業さんでなければ、とても番組を持つことなど叶わない。
私のような零細も零細、「TOP OF THE 零細企業」の経営者からしてみれば、ラジオ番組を持つなど夢のまた夢。
それが月々のお小遣いぐらいの価格で番組を持つことができるというのだ。
そうなると、おぢさんの悪癖である「やりたがり」が止まらない。

「やるやる!俺がやる!」

後先考えず、得意である「その場の勢い」だけで、つい口走る。

こうなってしまうと、もはや自分で自分のことを止めることができない。
どんなにやらない理由を自分の中で並べて見ても、溢れるパッションが止まらないのである。

しかし待て。いくら自分の中で盛り上がっても先方あっての話。
「あぁ、その枠はもう決まっていますので大丈夫です。」
なんて言われようものなら、かっこ悪すぎて泣いてしまう。

「もしだったら、話くらい聞いてあげても良いんだからね」

溢れ出るパッションをしまい込み、冷静を装いながら、ツンデレ気味に、それとなく提案する。

すると、先方からは是非にと、ご連絡をいただき、すぐにでも打ち合わせをしたいとのこと。

「いやぁ、私、本業は看板屋さんなんですけど、「可能性創造研究所」という心理学の知識を基にコーチングや
企業セミナーなどもやっていまして。今後、そちらの方も力を入れていこうと考えている時に、このような話を聞いたものですから」

「ラジオ番組を持っていますって言いたい」
という小学生のような欲望から始まったものが、後付けではあるが、何ともそれらしい理由と思いを語る。

先方も親身に耳を傾けてくださり、トントン拍子に話は進む。
出演も基本はスタジオに伺っての出演なのだが、難しい時は電話での出演や録音なども可能だという。しかも音源はもらうことができ、こちらでYouTubeなどに上げても良いとのこと。
これはもう、完全にやるしかない。やらない訳がない。

打ち合わせの前に自分でも、それとなく調べてみると、亀田YEGが持っていた番組の放送枠が「トーク10分+リクエスト曲」というような内容で、プランを上げると30分番組を持てる。
しかも、これまた、お値段もリーズナブル。
ヤバい。むしろ30分番組やるか?私。

もはや、ノリノリを通り越して大暴走をしている。
先方にも、それとなく伝えたところ、できれば亀田YEGの後に入っていただけるとありがたいとのこと。

ですよね。新たな枠じゃなくて空いた枠を埋めたいですよね。
ふと我に返る。あぶない。話す内容もまだ決めていないのに30分も何を話すつもりだったのか。

「それでは、どのような内容の番組にして行くのか概要を決めて行きたいのですが」

先方はそれを一番話したかったのだろう。それもそうだ。
打ち合わせといいながら、どこの誰かも解らないおぢさんがベラベラと講釈を垂れている。
そんなおぢさんが、公共の電波で何を話すのか分からないなどという状態は恐怖以外の何物でもない。

しかし私は、自分の番組をどのようなものにするかは自分で決めたい我儘なおぢさん。
「あ、概要は私の方で作成して後日送らせていただきます。」
「それでは、番組名と番組内容を後ほどよろしくお願いします。」
と結局、おぢさんがベラベラと夢を語っただけという非常にカオスな打ち合わせを終了する。

後日送った内容として番組名は「可創研の男」。
番組概要は、「可能性創造研究所所長、上野が日常使える心理学の話をメインに地域のイベントや情報、時には雑談を踏まえながら、今日を生きる人に有益な半歩先の情報を伝える事を目指す」という、結局何をしゃべんねん。という内容だ。

昼下がりの真面目でオシャレな番組として、番組がどのように成長していくのか。
非常に楽しみな反面、私の「悪ふざけおぢさん」がどこまで封印できるのかという成長過程を放送する番組にならないよう心掛けたいものである。

(2022.03.25:コラム/上野龍一)


【 上野龍一 】
~プロフィール~

1975年4月28日生まれ
新潟県新潟市出身
「有限会社看板の上野」代表

経営者として人生経験を積む傍ら心理学、コーチング、エゴグラム心理分析などを研究。
自らを実験台に実績を繰り返して企業や学生への講師やコーチング、セミナーなどを開催する「可能性創造研究所」を設立。

また、地域イベントの企画、運営をするユニット「ニイガタ工務店」としても活動中。

「働くということは社会に貢献すること」を信条とし、様々な地域活動や企画運営を行っている。