第18話:どうやら、おぢさんは「連想記憶の能力」がフィーバーしているらしい。

先日、何気なく見たテレビCMで
「金田一少年の事件簿」が現在も
ドラマでやっていることを知った。
金田一少年の事件簿といえば、
おぢさんが高校生ぐらいの時に
連載していた漫画で、そのような
コンテンツが復刻しているのだなぁと眉を細める。

「じっちゃんの名にかけて!」
というのが主人公、金田一はじめの
決め台詞なのだが、当時のおぢさんは
お箸が転んでも興奮する世代。
高校生のおぢさんは「じっちゃんのナニかけて」
という部分で、得も言えぬ興奮を
味わっていたのは遠い過去の話だ。

このような因んだ感じというか、
名前というか、最近やたらと思いつく。
例えば、先日おぢさんが所属する
ニイガタ工務店のYouTubeチャンネル
「おぢさんラヂオ」でも語ったのだが、
三遊亭好楽が笑点でピンクの着物を着ている。
「ピンクの着物の好楽さん」と考えた時に、
「ピンクの薬コーラック」を思いつき、
「もしかしたら、あの商品名は、ピンクの
着物の好楽から来ているでは。」と想いを馳せる。
現に「消臭力」という消臭剤のネーミングは
エステーの社長が「長州力」から取ったという
有名なエピソードもあるので、
あながち間違いではないのかもしれない。

このような発想が出てくるのは、おぢさんが若い頃、
ヒップホッパーでガンガンに韻を踏んでいたことが
関係しているかと思っていたのだが、
色々と調べてみると、どうやら違うみたいだ。

中高年男性になると、脳の働きにある
特徴が生まれるそうだ。
1つの記憶から他の記憶を思い出すことを
「連想記憶」というそうなのだが、
この能力は年齢を重ねるほど上昇する。
ある実験だと、連想記憶に関する脳の発達は
30代からあがり、50代でピークを迎えるらしい。
しかも、この連想記憶に関する働きをする脳の
「側頭連合野」という部分は、50代くらいまで
機能が右肩上がりに活発で、頂点を境に急に機能が
低下していくそうである。

つまり、このような発想が次々と思いつくというのは、
私がおぢさんになってから身に付いた能力、ヒロアカ風に
言うと「おぢさんになってから目覚めた個性」であり、
今もっとも脂が乗り切った状態なのだといえる。

しかし、連想記憶の能力が上がっていく一方で、
おぢさんの脳では別のことも起こっている。
感情をコントロールする「前頭葉」。こちらが
加齢と共に萎縮してきているのだ。

脳科学的に説明をするならば、
前頭葉の委縮から始まる「脳の暴走」が
止められないことと、「連想記憶の能力が
上がっている」ため、いわゆる「おやじギャグ」を
まき散らす状態が生まれるそうなのだ。
何かと話題になったおぢさんが独特のテンションで
若い女性に口説き文句をまくしたてる
「おぢさんからのメール」や「おぢさんLINE」も、
側頭連合野の活発さと前頭葉の委縮が原因にするものであろう。

しかし、言いたいことを言えないこんな世の中じゃポイズンだ。

おぢさん人生の名著「嫌われる勇気」の中に
「他者からの評価ばかりを気にしていると、
終的には他者の人生を生きることになります」
という一節がある。人から嫌われることを恐れ、
他人の目を気にしてばかりの人生を歩むのであれば、
たとえ人から嫌われることがあろうとも言いたいことが
言える、そんな俺は俺をだますことなく生きていく
ウォウウォウの方が豊かな人生だと考える。

「言いたいことを言う」とうことと
「ユーモアのセンス」は全く別物だ。
要は、「さむいおやじギャグ」でなく
「面白いオヤジギャグ」が思いつく感性を
磨けば良いのだ。また無駄に消費するのでなく、
見せ方により「高度なおやじギャグ」として
昇華させるテクニックを磨くことも可能なのかもしれない。

テレビCMなどで良く見る「小林製薬」商品は、
いわゆる「おやじギャグ」のような商品名が目につく。
例えば、さかむけを固める「サカムケア」、
内臓脂肪を減少させる「ナイシトール」など、
一度聞けば覚えられるような商品ばかりだ。
このようなユニークなネーミングセンスは、
確かにふざけたネーミングだが秀逸だ。
名前を聞いたら絶対に忘れない。「さかむけを治したい」
「内臓脂肪を落としたい」と思うと、思い浮かぶのは
小林製薬の商品だ。もしかしたら、高度な戦略に基づいた
ネーミングなのかもしれない。

現在、おぢさんは「連想記憶の能力」がフィーバーして
様々な発想が思い浮かぶ反面、前頭葉が腐り、
思ったことを口に出してしまう「暴走モード突入中」という
自分も人も傷つける諸刃の剣状態だ。

しかも、「連想記憶の能力」による閃きは「おぢさん」が
「おぢいさん」になると無くなる能力だ。そうなると
腐った前頭葉により、思ったことを口に出してしまうという、
「ただの老害」だけが残ってしまう。

いくら、おぢさんが「嫌われる勇気」をもっているとて、
決して「嫌われたい」と思っている訳ではない。
今のうちにピークの発想力でユーモアを磨き、
理性が効くうちに嫌われるのではなく、
温かい目で見守ってもらえるような人間性を
磨く活動をしていかなげばならないと
おぢさんはシミジミと思うのだ。

(2022.05.27:コラム/上野龍一)


【 上野龍一 】
~プロフィール~

1975年4月28日生まれ
新潟県新潟市出身
「有限会社看板の上野」代表

経営者として人生経験を積む傍ら心理学、コーチング、エゴグラム心理分析などを研究。
自らを実験台に実績を繰り返して企業や学生への講師やコーチング、セミナーなどを開催する「可能性創造研究所」を設立。

また、地域イベントの企画、運営をするユニット「ニイガタ工務店」としても活動中。

「働くということは社会に貢献すること」を信条とし、様々な地域活動や企画運営を行っている。